消化器センター(消化器内科・消化器外科)

当院消化器病センターは消化器内科と消化器外科が同一フロアに存在することによりチーム医療を充実させ、診断から治療までを効率良く、一貫して行うことを診療の目標にしています。さらに、最先端の内視鏡、腹腔鏡を用い低侵襲の治療を目指しています。

消化器内科

概要

当院の消化器科診療に従事する医師の殆どは消化器病専門医、消化器内視鏡専門医などの専門医資格を有しており、ほぼ全ての消化管、肝胆膵疾患の診療に当たっています。また、当科では定期的に病理医、消化器外科医、放射線科医とカンファレンスを行い担当患者の適切な診断、治療に心がけております。

消化管診療に関しては、内視鏡検査は年々増加傾向してきており、2021年は上部消化管内視鏡検査6512件、下部消化管内視鏡検査2657件実施いたしました。当院ではCO2送気や鎮静剤を使用し苦痛の少ない内視鏡検査を目指しております。また、小腸の検査では小腸カプセル内視鏡、バルーン内視鏡を導入し、原因不明とされた消化管出血、小腸疾患の診断に威力を発揮しております。

治療に関しては、食道、胃、十二指腸、大腸の早期癌やポリープに対し、内視鏡により切除、治療を行うポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)を実施しておりますが、当院では特に治療が困難と思われる病変の治療も積極的に行っております。また、消化管出血に対する止血、食道静脈瘤への硬化療法、消化管狭窄に対する内視鏡的拡張術やステント留置なども行っております。

また、最近患者数が増加し注目されている疾患である、胃食道逆流症や好酸球性食道炎の診療にも力を入れております。さらにヘリコバクターピロリや最近増加しているNHPH感染を中心とした胃疾患の診療、潰瘍性大腸炎・クローン病などの炎症性腸疾患の診断、治療の症例数も多く白血球除去療法、バイオ製剤による治療も行っております。

(内視鏡検査・治療の年次推移)

肝胆膵疾患では、最近症例数が増加しております胆嚢癌、胆管癌、膵臓癌及び膵腫瘍や消化管粘膜下腫瘍の診断に関して腹部エコー、CT、MRI/MRCPなどの画像診断と超音波内視鏡(EUS)、EUS-FNA、ERCPなどの内視鏡を用いた画像診断で精密検査を行っております。また、特に膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)をはじめとした膵嚢胞性病変の経過観察ではMRI、EUSを用いて積極的に膵癌の早期発見に取り組んでおります。

治療に関しては胆管結石や腫瘍による閉塞性黄疸などに対して内視鏡的乳頭切開術・拡張術(EST・EPBD)、内視鏡的胆管ドレナージ(EBD)、更に消化管術後の閉塞性黄疸に対して小腸内視鏡を用いた内視鏡的胆管ドレナージなど内視鏡を用いた様々な治療を行っております。また、当科は常勤医全員が内視鏡専門医であり、進行癌の患者さんに対する内視鏡的ステント留置やドレナージなどを迅速に行うことが可能です。2022年の治療内視鏡の実施件数は200件を超えています。

肝疾患に関してはC型肝炎に対するインターフェロンフリー治療、肝臓癌に対しては、ラジオ波凝固療法、肝動脈塞栓療法、リザーバー埋込み術による化学療法など集学的な治療に積極的に取り組んでおります。

悪性腫瘍全般に関しましては、当科では日本臨床腫瘍学会のがん薬物療法専門医が2名常勤で消化器・腫瘍内科医としてがん治療に専従しており、消化器がんのみならず、頭頚部がん、尿路上皮がん、原発不明がん、腹膜がん、腹膜中皮腫、GIST、肉腫など臓器横断的に最新の化学療法、化学放射線療法を実施しております。当科は、北大消化器内科学講座の関連施設であり、北海道大学を中心とした研究グループ(HGCSG)、JACCRO,SCRUM-JAPANの一員として、最新の臨床試験に参加し、治験への紹介も行っています。また、外来化学療法室や化学療法専門病棟で専門のスタッフが治療にあたり、早期から緩和チームも介入を行い癌による症状コントロールを積極的に行っております。

力を入れている診療

  • 早期食道癌、早期胃癌、早期十二指腸癌、早期大腸癌、大腸ポリープなどの内視鏡治療
  • 消化管粘膜下腫瘍、膵腫瘍に対するEUS-FNAを用いた診断
  • 胆管結石や胆道癌での閉塞性黄疸に対する内視鏡治療
  • カプセル内視鏡、バルーン内視鏡を用いた小腸疾患の診断・治療
  • 消化器系悪性腫瘍、頭頚部がん、泌尿器がん、原発不明癌、肉腫に対する集学的治療急性腹症や消化管出血などの消化器二次救急

認定施設一覧

  • 日本内科学会 教育病院
  • 日本消化器病学会 認定施設
  • 日本消化器内視鏡学会 指導施設
  • 日本肝臓病会 特別連携施設

診療実績

臓器 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
上部消化管内視鏡 6,604 5,682 6,512 6,389 6,724
下部消化管内視鏡 2,904 2,440 2,657 2,492 2,624
小腸内視鏡検査 2 2 2 7 4
カプセル内視鏡検査 10 10 4 8 10
超音波内視鏡検査 80 78 46 110 107
ERCP関連内視鏡検査 183 141 213 198 207

臓器 2019年 2020年 2021年 2022年

2023年

食道ESD 10 17 7 12 15
胃ESD 65 60 70 77 74
十二指腸ER 8 1 6 9 5
大腸EMR 422 362 310 347 356
大腸ESD 71 87 74 84 91
合計 576 527 467 529 541

臓器 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
頭頚部がん 52 130 145 104

89

食道がん 178 92 106 306 329
胃がん 237 154 392 255 309
大腸がん 250 659 733 926 1,039
肝細胞がん 18 23 64 57
胆道がん 100 131 97 71 78
膵臓がん 248 338 402 505 604
尿路上皮・腎がん 66 105 98 76 24
その他 53 74 8
合計 1,131 1,627 1,996 2,307

2,537

スタッフ

常勤医

関 英幸

役職等 消化器センター長
専門領域 消化管
その他

日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医

日本消化器病学会専門医・指導医

日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

菅井 望

役職等

消化器内科部長 兼

内視鏡センター長

専門領域 消化器科
その他

日本内科学会総合内科専門医

日本消化器病学会専門医

日本消化器内視鏡学会専門医

曽我部 進

役職等

腫瘍内科部長 兼

消化器内科部長代行 兼

入院・外来化学療法室長 兼

治験管理センター副センター長

専門領域

消化器科

腫瘍内科(がん治療)

その他

日本内科学会総合内科専門医

日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医

日本消化器病学会専門医・指導医

日本がん治療認定医機構がん治療認定医

日本消化器内視鏡学会専門医

小林 良充

役職等

医長 兼

腫瘍内科医長

専門領域

消化器

癌化学療法

その他

日本内科学会認定内科医

日本消化器病学会専門医

日本消化器内視鏡学会専門医

日本肝臓学会肝臓専門医

日本がん治療認定医機構がん治療認定医

日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医

日本内科学会総合内科専門医

松薗 絵美

役職等 医長
専門領域 消化器科
その他

日本内科学会認定内科医

日本消化器学会病学会専門医

日本肝臓学会肝臓専門医

日本消化器内視鏡学会専門医

日本カプセル内視鏡学会認定医

日本内科学会総合内科専門医

健康管理センター医師

石橋 陽子

役職等 健康管理センター 副センター長
専門領域 消化器内視鏡
その他

日本内科学会認定内科医・総合内科専門医

日本呼吸器学会呼吸器専門医

日本消化器病学会消化器病専門医・指導医・北海道支部評議員

日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医

山口 由美子

役職等 医員
専門領域 消化器科
その他

日本内科学会専門医

日本消化器病学会専門医

日本消化器内視鏡学会専門医

日本消化器がん検診学会指導医

消化器外科

概要

消化器外科専門医・内視鏡外科学会技術認定医を中心に、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、肝臓癌、胆管癌などの悪性疾患に対する手術、および胆石症、鼠径ヘルニア、虫垂炎、大腸憩室炎などの良性疾患の手術治療も数多く手がけています。消化器外科関連の手術は年間450-500例となっています。

胃癌・大腸癌に対しては主に腹腔鏡手術を行い、患者さんに侵襲の少ない医療をこころがけています。胃癌は年間40-50件の手術のうち半数以上、大腸癌は年間100件程度の手術のうちの8割を腹腔鏡で行っております。胃・十二指腸GISTなどに対しては、消化器内科と合同で腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)も行っています。また直腸がんに対してロボット手術を導入し、さらに安全で確実な手術を行っています。膵臓癌・胆管癌に対しても積極的に手術を行っており、腫瘍内科・消化器内科と協力して術前後の抗がん剤治療を含めた集学的治療を実践しています。最近では、従来切除困難とされていた膵癌や、腹膜播種を伴う大腸癌、多発肝転移巣などに対して抗癌剤治療の進歩により、手術できるようになる症例もみられるようになっています。

胆石症、鼡径ヘルニア、虫垂炎もほとんどが腹腔鏡で行われており、低侵襲で質の高い外科手術を提供しています。腹壁瘢痕ヘルニアや食道裂孔ヘルニアに対しても腹腔鏡手術を施行しています。

胃・大腸穿孔や腸閉塞などの緊急を要する急性腹症に対しても、時間を問わず対応しております。循環器内科・呼吸器内科・ICUなどが充実しており、心臓や肺などに併存疾患を抱えているような困難症例に対しても、他科と協力して最善の治療ができる体制が整えられています。

ユニークな診療

  • ロボット手術
  • 積極的な腹腔鏡手術
  • 腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)

スタッフ

常勤医

今 裕史

役職等

副院長 兼

血液浄化センター長

専門領域

腎不全外科

内視鏡外科

透析療法

その他

日本外科学会専門医・指導医

日本消化器外科学会専門医・指導医

日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医

日本消化器病学会専門医

日本内視鏡外科学会技術認定取得者(消化器・一般外科)

日本透析医学会専門医・指導医

日本腹部救急医学会認定医

da vinci Robot surgery 術者 certification

三野 和宏

役職等

消化器外科部長

その他

日本外科学会外科専門医・指導医

日本消化器外科学会専門医・指導医

日本消化器病学会専門医

日本透析医学会専門医

日本腹部救急医学会認定医

ICD認定医

深作 慶友

役職等

外科医長

専門領域

消化器外科

その他

日本外科学会専門医

日本消化器外科学会専門医

日本内視鏡学会技術認定医

金沢 亮

役職等 外科医長
その他

日本外科学会外科専門医

日本消化器外科学会専門医