気胸センター

― 呼吸器外科・呼吸器内科が連携した専門診療体制 ―

センターのご紹介

突然の胸痛や息苦しさで発症する「気胸」は、若年者から高齢者まで幅広く見られる病気です。

再発しやすく、患者さんの生活や社会復帰に影響を及ぼすことも少なくありません。KKR札幌医療センターでは、こうした患者さんに迅速で専門的な診療を提供するため、呼吸器外科と呼吸器内科が協働する「気胸センター」を設立しました。外科・内科の専門医に加え、放射線科・看護部・臨床工学技士など多職種が連携し、発症から再発予防・退院後のフォローアップまで一貫したチーム医療を実現しています。

受診のご案内 

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当センターの特徴

1.専門医による迅速・的確な診断と治療

気胸の原因は多様で、若年者に多い特発性気胸から、COPDや間質性肺炎を背景にした続発性気胸までさまざまです。当センターでは、胸部レントゲンや胸部CTを用いた正確な診断のもと、保存的治療から手術・内視鏡治療まで、患者さんごとに最適な治療を提案します。

2.単孔式胸腔鏡手術(Uniportal VATS)による低侵襲治療

当センターでは、手術が必要な患者さんに対して単孔式胸腔鏡手術を標準術式として導入しています。

1か所の小さな切開創からカメラと器具を挿入するため、

  • 術後の痛みが軽く
  • 回復が早く
  • 美容的にも優れた結果が得られます。

さらに、早期退院パスを導入し、多くの患者さんが術後数日で退院可能です。

学生・社会人・アスリートなど、早期復帰を希望する方にも適した治療体制を整えています。

3. 呼吸器内科による内視鏡治療(EWS)

呼吸器内科では、EWS(Endobronchial Watanabe Spigot)による気管支鏡下治療を行っています。

これは、空気漏れの原因となる気管支をシリコン製の栓で閉塞し、肺のエアリークを止める方法です。手術が難しい方や再発を繰り返す難治例にも適用でき、体への負担が少ない非手術的治療として有効です。

4. 再発予防と退院後フォロー

治療後も再発予防に力を入れ、呼吸器外科と呼吸器内科が連携して継続的にサポートします。

退院後には、

  • 再発チェックのための定期画像フォロー
  • 吸入治療や在宅酸素療法(HOT)
  • 呼吸リハビリ指導を通じて、安心して生活できる環境を整えます。

5. 地域医療との連携

地域クリニック・病院からの紹介を積極的に受け入れ、治療後は逆紹介を通じて主治医の先生方と情報共有を行っています。また、他院で治療を受けた再発例や診断困難例のセカンドオピニオンにも対応しています。

診療対象

  • 特発性自然気胸
  • 続発性気胸(COPD・間質性肺炎など)
  • 難治性・再発性気胸
  • 月経随伴性気胸
  • 肺嚢胞性疾患に伴う気胸など

治療内容

気胸の治療は、症状や肺の虚脱の程度、再発歴、全身状態などによって異なります。

当センターでは、保存的治療から手術、癒着療法、EWSなど、それぞれの患者さんに合わせた最適な方法を選択しています。

① 保存的加療(自然治癒を待つ治療)

軽度の気胸では、安静と酸素投与による自然治癒を目指します。肺から漏れた空気は時間とともに吸収され、数日から1週間ほどで改善する場合もあります。再発や気漏の持続がみられる場合には、次の段階の治療へ進みます。

② 胸腔ドレナージ

肺が大きく虚脱している場合や呼吸困難がある場合には、胸腔ドレーンを挿入して空気を排出します。局所麻酔で行う処置で、肺が再膨張するまで持続的に吸引を行います。自然閉鎖しない場合や再発を繰り返す場合には、手術や癒着療法を検討します。

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③ 癒着療法(胸膜癒着術)

再発を防ぐ目的で、胸腔内に薬剤を注入して肺と胸壁を癒着させる治療です。

ミノサイクリンやOK-432などを使用し、手術が難しい方や一時的に外科治療を避けたい方にも適応できます。局所麻酔で行える低侵襲な治療で、入院期間も比較的短いのが特徴です。

④ 胸腔内造影(エアリーク評価)

胸腔内に造影剤を注入してX線やCTで撮影し、空気漏れの位置や癒着の程度を確認します。治療方針を決めるうえで重要な検査であり、手術やEWS施行前に実施することがあります。

⑤ 手術治療(VATS:胸腔鏡手術)

再発例や気漏が持続する場合には、胸腔鏡手術(VATS)を行います。

当センターでは単孔式胸腔鏡手術(Uniportal VATS)を採用し、1か所の小切開からカメラと器具を挿入してブラを切除、再発予防処置を行います。

術後の痛みが少なく、早期退院・早期社会復帰が可能です。

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⑥ 内視鏡治療(EWS:気管支充填術)

呼吸器内科では、気管支鏡を用いて空気漏れの原因気管支をシリコン製のEWSで閉塞します。手術が難しい方や再発を繰り返す方に有効で、局所麻酔下で安全に行える低侵襲な治療です。

治療後のフォローアップ

退院後も再発予防・呼吸機能維持のために、外来で定期的な画像・診察を行います。喫煙習慣や激しい運動、飛行機搭乗などのリスク管理についても指導し、再発を防ぎながら安心して生活できる支援体制を整えています。

医師紹介

KKR札幌気胸センター

 井上 玲 (呼吸器外科)

「気胸は、突然の胸痛や息苦しさで発症し、不安を感じられる方も多い疾患です。私たちは、そうした患者さん一人ひとりに、安心と納得のいく医療をお届けしたいと考えています。当センターでは、呼吸器外科・呼吸器内科を中心に多職種が連携し、発症時の迅速な対応から、低侵襲な単孔式胸腔鏡手術やEWS(気管支鏡下気管支充填術)などの内視鏡治療、再発予防、退院後の生活支援までを、一つのチームとして一貫して行っています。私たちの目指す医療は、"治して終わり"ではなく、"再発を防ぎ、生活を支える医療"です。症状が落ち着いた後も、安心して呼吸できる日々を取り戻していただくことを大切にしています。これからも、地域の皆さまに信頼される専門センターとして、患者さんの"呼吸の安心"を守るために全力を尽くしてまいります。」

気胸でお悩みの方へ

胸痛や息苦しさなど、気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。

KKR札幌気胸センターは、"呼吸の安心"を支える専門チームとして、地域の皆さまに寄り添った医療を提供いたします。