感染制御部
感染制御チーム
感染制御チームは医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師による多職種で構成される感染対策の実働チームとなります。
医療関連感染の予防、感染防止対策ならびに感染症発生時の対応など、患者の皆様、御面会の方、来院する方々、すべての職員を対象とし、病院内の感染対策に取り組んでいます。また、院内感染防止対策を確立し、安全な医療を提供するために、組織横断的に活動しています。
感染制御チームの主な活動内容
- 院内感染対策マニュアルの整備と定期的な見直し及び職員に対する教育
- 院内ラウンド、感染対策状況の確認とフィードバック
- アウトブレイク発生時の対応
- 感染対策向上加算に関わる病院間相互評価、加算施設合同カンファレンスなど
- 院内感染サーベイランスの実施
- 抗菌薬の適正使用推進を含めた感染症治療のガイドライン整備(抗菌薬適正使用チームと連動)
- 器材及び構造設備の充実と適切な維持管理
- 職員に対する院内感染対策
KKR札幌医療センター感染管理指針
本指針は、院内感染予防・感染防止対策ならびに発生時の適切な対応など、当院における院内感染防止対策を確立し、安全な医療を提供することを目的とする。
感染管理に関する基本的な考え方
1-1 感染管理の現状と認識
わが国における感染症の実態は大きく変化している。1996年に発生した腸管出血性大腸菌O-157が集団感染し、結核は1999年には厚生大臣が結核菌緊急事態を宣言するほど感染が拡大し、再興感染症として結核対策が開始された。一方、交通手段の発達によって人と物との流通が激しくなったことは、新興感染症の流入の危機にさらされることにもなる。
院内感染は、病院死亡率、在院日数、医療費の適正化に大きな影響を及ぼし、感染対策は現代社会の重要な健康課題となっており、感染対策を推進することは極めて重要である。
1-2 感染管理に関する基本姿勢
- 感染管理は医療施設、介護施設、在宅ケアなどにおける全ての人々を感染から守るための組織活動である。
- 院内感染は、病院において様々な疾病をもった患者が、検査、治療、ケアを受ける状況下において、現疾患とは別に新たに罹患する感染症も含まれる。
- 院内連感染は、患者に不要な苦しみを与えるだけでなく、入院期間の長期化など経済的、社会的負担を強いることになる。
- 病院、医療従事者に対しても過大な負担を及ぼす。
- 感染管理は、医療・ケアの質の向上、不必要な経費の削減、業務の改善・効率化に大きく寄与し、リスクマネジメントの面からも喫緊の課題である。
- 院内関連感染を減少させるには、感染管理の組織化により活動の中核を担う感染管理担当者である感染管理医師・感染管理看護師が病院全部門の医療従事者と共に取り組んでこそ目的が達成される。
1-3 感染管理体制の構築
感染管理を効果的・効率的に行うためには、有機的に組織が構成され、活動の中核となる感染管理担当者が自施設の感染管理プログラムを作成し、実行・評価を可能にすることが必要である。
1)感染制御部の設置
院内感染対策を実効あるものにするため、院長と相談の上、感染制御部を設置する。
感染制御部においては、次の業務を司る。
- 感染予防、再発防止策ならびに発生時の適切な対応に関すること。
- 感染事故の分析及び研究に関すること。
- 感染事故防止の教育、啓蒙に関すること。
- 感染制御プログラムの立案と具体化に関すること。
2)感染対策委員会(Infection Control Committee : ICC)の設置
感染に関する院内全体の問題点を把握し改善策を講じるなど感染対策活動の中心的役割を担うために、院内の組織横断的な感染対策委員会(以下「委員会」という)を設ける。
3)感染対策チーム(Infection Control Team : ICT)
- 感染管理医師、感染管理看護師、薬剤師、臨床検査技師が中心となる。
- 実働性の高い専門チームであり、迅速、的確な情報伝達と判断力を必要とする。
- 感染の早期発見と感染経路遮断などのための活動を展開する。
4)抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team : AST)
- 感染管理医師、薬剤師、臨床検査技師、感染管理看護師(専従)が中心となる。
- 感染症治療のモニタリングとフィードバックを行う。
- 職員への教育と啓発を行う。
中心組織 | 院内感染防止対策実践 |
感染対策委員会 (ICC) |
感染防止対策の基準/マニュアル、規則などの作成、 方針の決定 |
感染対策チーム (ICT) |
患者/家族へのインフォームドコンセント 病院疫学情報の把握/提供の実施 |
感染管理担当者 (資格を有すICD,ICN) |
医療従事者への教育・指導・相談 院内ラウンドによる把握/提供の実施 |
抗菌薬適正使用支援チーム (AST) |
感染症治療のモニタリング/ 広域抗菌薬使用状況の把握 |